呉釗燮外交部長(外務大臣)が25日、米国の公共ネットワークPBSの報道番組「PBSニュースアワー」のインタビューに応じた。インタビューは外交及び国防問題で経験豊かな記者、ニック・シフリン(Nick Schifrin)氏が行った。呉外国部長はこの中で、中国の台湾に対する「文攻武嚇(言論による攻撃と武力による威圧)」、台湾の自衛能力強化に向けた取り組み、台湾と米国の関係発展などについて詳しい説明を行った。インタビューは26日に放送された。
呉外交部長は中国の軍機が近年台湾の周辺に頻繁に出没していることに言及、「昨年などは台湾の防空識別圏に2,900回以上侵入した」と指摘した。呉外交部長はまた、中国はあらゆる手で台湾の外交空間を圧迫しており、コロナ禍においては台湾にフェイクニュース攻勢を仕掛けていると批判、そうした中国からの脅威に向き合い、台湾は自衛能力を強化するほか、民主の理念が近い国々の支持を取り付けていくと述べた。呉外交部長はこうした取り組みはすでに重要な反響を呼んでいるとし、今年4月の日米首脳会談、5月のG7外相会合、米韓首脳会談などでの共同声明がいずれも台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調していることを例として挙げた。
呉外交部長は、中国による武力の脅威に向き合い、台湾は今後軍事的な防衛力を強化すると共に米国など理念の近い国々との協力を深めていくと説明。「台湾関係法」に基づいて米国が引き続き台湾に武器を供与すること、そして台湾が自前の武器生産を拡大することなどで台湾の充実した自己防衛能力を確保する考えを示した。呉外交部長はまた、米国など理念の近い国々の軍艦が台湾を取り巻く地域で「航行の自由」作戦を行っていることは米国が台湾海峡の平和と安定及び地域の安全保障を重視していることを示すと指摘した。
米国におけるバイデン政権発足後の台米関係の発展について呉外交部長は、米国務省が台湾との政府間交流を奨励する新たな指針を打ち出して明らかに交流レベルを引き上げたことは台米関係に新たなページを開いたと歓迎。また、バイデン米大統領が「盟友」のクリス・ドッド(Christopher Dodd)元上院議員を4月に訪台させたことは米国の台湾に対する一貫した揺るがぬ支持と重視をより明らかに示したと説明、中華民国政府は米国との全方位的な交流と協力を積極的に強化し、引き続き双方の関係を安定的に発展させていくと述べた。
「PBSニュースアワー」は著名な報道番組で毎晩1時間放送されている。視聴者は200万人近くで、オピニオンリーダーや知識分子から高度に重視されている。